【重要なお知らせ】
「自分の考えた考察」と称して私の考察記事本文を順番にただ読み上げるだけの配信を行ったyoutuberがいました。
私の考察記事を動画で紹介してくださること自体は構いません。むしろ歓迎しています。
ただし「自分が考えたもの」として発表することは絶対にやめてください。
私の考察記事を動画内で扱う場合は参考URLとしてこの記事のリンクを必ず貼ってください。(こちらの許可を得る必要はありません)
この記事のURL:
http://lofear.game-ss.com/kousatu/story
2016年版レイヤーズオブフィアー(Layers of Fear)は6つステージがあり、ゲーム中で手に入る手紙やボイスやなどはすべて時系列がバラバラである。
このページでは、手に入れたアイテム等から、時系列を考察する。※当然ネタバレあります
①画家と妻、結婚する。妻は既に妊娠中。
画家と妻は熱烈に愛し合って結婚する(画像はステップ1)。
当然この時点では夫婦仲はたいへん良好である。
上は画家を絶賛している新聞記事(プロローグ)
この新聞記事からすると妻はまだ「婚約者」である。
さらにこの時点で妻が妊娠していることが判明(まさかできちゃった婚かな…)
上は妻を絶賛している新聞記事(プロローグ)
この新聞記事からすると、妻はこの時点では有名ミュージシャンではなく、しかも以前は「熱気と可愛い顔だけ」のミュージシャンと酷評されていた。
だが今回のオペラのステージで覆した模様。
舞台がオペラで「マルチプレイヤー」という表記から誤解しそうだが、妻はあくまでも「プレイヤー(演奏家)」なので歌ったりはしない。
屋敷内にピアノとヴァイオリンがあることから、少なくともこの二つは弾くことができる。
上は妊娠中に妻が書いた赤ちゃん宛の手紙である(ステップ1)
これによると妻は以前は、才能なし・結婚できない・出産できないの三重苦だったが、現在はそれらを全てクリアしてたいへん幸せな状態であるとのこと。
ミュージシャンとしては「国中をコンサートで飛び回って、一番大きな会場をいつも満員にしてる」とのことで、大大大大人気である。
新聞記事のオペラのステージに収まらず、それ以降も快進撃が行われたことが窺える。
ここで注目すべきは妻が「『難しい』性格をしている」と周りから言われていたということ。
恐らく例の火災事故がなくとも、画家と妻が衝突することは避けられなかっただろう。
また、手紙内では「ある医者には、子供を産むことはできないだろうって言われたわ」とあり、妻が出産できない身体だったことが明かされる。
なぜ子供を産めなかったはずの妻が、突然子供を産める身体になったのかは不明。
本文中の「何か人治を超える力に見守られている気がしてならないの」が不穏過ぎて悪霊か妖怪の類かとぎょっとするのだが、原文を読むと「There's a higher power」となっており、これは普通に「神のご加護」的なことだと思われる。
(同文に「私は信心深い方ではなかった。(略)だけど~」とあり文脈的にもそう思われる)
何にせよこの段階では画家と妻は双方仕事もプライベートもたいへん充実しており、有頂天である。
②娘誕生、妻が産後鬱となる
妻は無事に娘を出産するのだが、ここから夫婦仲はおかしくなっていく。
上はステップ6の妻の日記だが、妻は娘を疎ましく感じ、絵画に夢中な画家を煩わしく思い始める。
また、熱狂していたはずの音楽にも嫌気が差すようになり、ピアノも弾かなくなってしまう。
画家が頼んでもピアノを弾かない妻(ステップ3)
画家は様子がおかしくなった妻について、友人であるトーマス・コールドウェルに手紙で相談している。(ステップ1)
これに対してコールドウェルは「子供を産んだ後、女ってのは妙なふるまいをするもの」とアドバイスしている。
ここから妻が産後鬱にかかっていることが読み取れる。
また、この手紙で「君は大人気なんだ」「電話はジャンジャン鳴りっぱなし」と書いてあることから、この段階ではまだ画家がまだまだ大人気の画家であることが窺える。
夫婦仲は悪いが、画家の仕事はまだ順調であった。
③妻が火災事故に遭い、全身大火傷の重傷を負う
火災事故の新聞記事(プロローグ)
この一家の運命を大きく決定づける悲劇が、ここで起こってしまう。
「ギャラティック・デパート」のオープン初日、火災が起こった。
多くの客は非常口から逃げることができたが、何人かの客は裏手に閉じ込められ、炎から逃げることができなかった。
新聞は少なくとも12人が重傷を負ったと報じており、この12人の内一人が妻であった。
妻が火災事故に遭ったという知らせを病院から受け取ったのは画家である。(ステップ3)
病院で目の当たりにした妻の姿に画家は動揺を隠せなかった。(ステップ6)
「あれが…妻? 私達の声、聞こえているんですか?」と画家が思わず漏らしてしまうくらい、妻の姿は焼けただれ、変わり果てていた。
「彼女の顔…、それに手… 私は…彼女はどうにかなってしまう!」
顔は勿論のこと手の損傷もひどい有様であった。
妻はその美貌を失い、身体の自由も利かなくなり、車椅子生活を余儀なくされる。
娘が描いた妻のらくがき(ステップ4)
尚、作中に度々出てくる車椅子は妻の比喩であると思われる。
ときどき画家に突っかかってきたり、怒るようにぶつかってきたりするのはそのため。
度々出てくる車椅子
ステップ6で車椅子を押すか押さないかの選択を迫られる部屋がある。
車椅子を押すと妻に寄り添うようかのように世界が恐ろしく変貌し、車椅子を押さないと妻を見捨てることを意味するのか、画家の心の世界に閉じこもったような芸術のみのクリーンな世界になる。
(上が車椅子を押した場合の世界、下が押さなかった場合の世界)
火災事故により車椅子を余儀なくされるほどの重傷を負った妻は、指も自由に動かせなくなる。
6ヵ月のリハビリの後にペンは辛うじて持てるようになったものの、楽器は以前のように弾けなくなってしまう。
一方画家は、この火災事故に大きなショックを受けスランプに陥ってしまい、無残にも「偉大なる芸術家の失墜」という見出しのもと、画家の新作展は酷評されてしまう(ステップ2)。
この記事では、火災事故の犠牲者の一人が画家の妻であるということ、画家の精神がこの事故によって大きく左右されていることなどが記されている。
大スターであった妻の大怪我は、おそらく世間にも広く知られていると思われる。
割愛するが画家の酷評記事はいくつかある。
彼が再評価されたという記事はひとつも出てこないので、彼の画家としての地位は失われたことがここで確定する。
また、画家自身も飼い犬に向かって
「お前に絵は描けないだろう? なあ? …気にすることはない。私も描けないからな…」
と弱音を吐く場面もある。彼自身スランプを自覚しているようだ。
この時期だと思われるコールドウェルからの手紙を見てみよう。
画家への依頼が絵画ではなく、ストーリーボードという簡単なものに変化し始めている。
コールドウェルが言う「お前も…その、色々考えないで済むだろう」というのは、おそらく火災事故のことだと思われる。
コールドウェルが気を使って簡単な仕事を選んでまわしてくれたのか、単純に画家に仕事が来なくなったのか、この段階では不明。
また、画家は、大火傷のために恐ろしい容貌となった妻を直視できず、だんだん妻を避けるようになっていく。
そして夫に避けられ、自身が愛されなくなったことを悟った妻は、それを寂しく思うようになる。(ステップ4)
このあたりから、画家が愛しているのは自分ではなく自分の美貌だったことに気付き始め、美しかった頃の妻を描いた画家の大傑作「黒衣の婦人」に嫉妬し始めるようになる。
画家の最高傑作「黒衣の婦人」
「そう…あなたは私のライバル」と呟く妻(ステップ5)
恐らくこの「私」とは、火災事故に遭う前の美しかった妻=「黒衣の婦人」である。
④画家がアルコールに溺れ依存症に。妻は画家を本格的に憎み始める。
ステップ3(ステップ2)
思うように絵が描けない苦痛からか、画家は「作品に集中するためのちょっとした助け」としてアルコールに手を出してしまう。
ゲーム内のいたるところに酒瓶が出てくるところからもわかるように、画家はアルコール依存症になってしまった。
アルコールに溺れた結果、画家は妻と娘に対し暴言や暴力などを浴びせ、酷く当たるようになり、妻はこれを機に強く画家を憎むようになる。
かつて愛し合っていた二人だが、互いに憎み合うようになってしまった。
大量のアルコールを長時間摂取した画家は、アルコール幻覚症に苛まれるようになる。
このため、この時期から画家の描く絵は狂気に染まり始める。
この新聞記事(ステップ5)では画家の作品はボロカスに言われているが、「この作品のおぞましさは特筆に値し…」と画家の狂気だけは褒められている。
(「値し…」で終わっているので「値する」のか「値しない」のかここだけでははっきりしないが、原文が「The painting excels in a hideous…」なので普通に「値する」だと思われる)
絵画の質は落ちたが、絵画からにじみ出る画家の狂気はとてつもないらしい。
(※この「赤子の顔」はゲーム内では画家のオリジナルとされていますが、実在する絵画です。
詳しくはこちら→
http://lofear.game-ss.com/e/kaiga-motoneta)
画家の狂気は絵画以外の仕事にも影響が起きており、画家の担当した赤ずきんの挿絵もとんでもないことになっている。(プロローグ)
これには画家に仕事を斡旋したブリックストーン氏も「こんなもの使えるわけがない!」と激おこである。
ブリックストーン氏いわく、画家の絵は「狂気と悪夢の爆弾」と言わせるほどの禍々しさである。
また、報酬を前払いで貰うなど、画家はこの時期金銭面で相当苦労しているらしいことが窺える。
アルコールによる幻覚症状は絵画だけでなく、ネズミの姿でもって画家を苦しめることとなる。
ゲーム内のいたるところにネズミが出てきているので、画家がネズミの幻覚に苦しんでいることを改めて説明する必要はないと思う。
妻の日記(ステップ5)によると画家は「壁の中から何百ものネズミの音が聞こえる」と言っているらしく、幻覚だけでなく幻聴にも苛まれていることがわかる。
特筆すべきは屋敷には1匹もネズミはいないということだ。
妻はネズミを「1匹も見た覚えががない」といい、業者も「げっ歯類による被害の痕跡が一切認められない」と報告している(プロローグ)。
にもかかわらず、画家は業者をかなり責め立てた模様。
業者に手紙を送り付け、あまつさえ業者の母親まで中傷したらしい。
元々カッとする性格の画家だが、アルコールの影響で更に激しくなっているようだ。
ゲーム中何度も聞かされる例の調子で、汚い言葉を使いめいっぱい怒鳴り散らしたのだろう。
ここでコールドウェルの手紙(ステップ5)を見てみよう。
アル中でやばくなった画家に嫌気が差したのか、それとも単に仕事がなかったからか、コールドウェルは画家と距離を取っていたらしい。
「新作は昔の作品ほど売れてない」と言い、これまではなんだかんだで仕事を斡旋してくれていたのに、今回は何の仕事も紹介してくれない。
手紙内では「探し続けるさ」とあり、何を探すのかは具体的には書かれていないが、文脈的に恐らくは画家の仕事であると思われる。
(原文でも「I'll keep looking.」であり、何を探すかは明らかにされていない)
だが、ブリックストーン氏との赤ずきんの件でわかるように、信頼関係をめちゃくちゃにしている画家である。
コールドウェルが本当に画家のために仕事を探すかは疑わしい。
画家も「信じるものか」とブチギレている。(自業自得だと思うが)
この手紙でもう一点わかるのは、妻が「黒衣の婦人」を燃やしてしまったということ。
ひょっとしたらこれが妻の最後のSOSだったかもしれない…
⑤妻が自殺する
辛い現実に耐えきれなくなった妻は、とうとう自ら命を絶つ。
上は娘に残した遺書である(ステップ6)。
妻はバスルームに鍵をかけてこもり、包丁を使って自殺を図った(ステップ6)。
第一発見者は画家であった。
妻の異変を察した画家が、救助のために無理矢理鍵を壊して押し入った…という理由ではなく、外出しなければならない画家が無理矢理バスルームに押し入った末の発見であった。ド最低。
妻が息を引き取ったタイミングは不明だが、下手をしたら妻が最期に耳にした言葉は、画家の「何をグズグズしてるんだ!? このクソッタレのドアを開けろ!」かもしれない。
そんなの可哀想過ぎるよ…
血まみれの妻を目前にし、画家が「いやだ! いやだ!」と泣き叫び後悔するも、時すでに遅し。
というかお前のせいだろうが。
⑥娘が画家から引き離される
弁護士からの手紙(ステップ3)
アルコール依存症になった画家が娘を育てられるわけがなく、娘は「家庭裁判所の裁定により」画家から引き離されてしまう。
画家はそれに納得できず弁護士を雇って裁判を重ねるが、画家の奇行のために難航している模様。
この状態で事態が好転するはずがなく、業を煮やした画家はとうとう娘を誘拐してしまう。
この新聞記事(ステップ3)によると、娘は児童福祉施設にいたようだが、画家はそれを誘拐して自分の屋敷に連れてきた模様。
最後は警官隊が屋敷に押し入り、画家は逮捕されてしまう。
娘は画家にとって「私に残された全て」であるらしい。
⑦レイヤーズオブフィアー開始
①~⑥の過程で画家が失ったものは3つ、「画家としての地位と名声」「美しい妻」「家庭(娘)」である。
これらを取り戻すために、画家は妻の肉体を使って絵を描き始める。
我々がゲームをプレイしているのは時系列でいえばここにあたる。
レイヤーズオブフィアーは画家による以下のナレーションで始まる。
「おまえの心の内はわかっている。喪失、孤独、絶望。当然の報いだろう? それでも、まだ道はある…。すべてを取り戻す道が…。心の底から渇望していた、ただ一つのもの。終わらせねば」
①~⑥の過程において、画家は「地位」「美しい妻」「家庭(娘)」を失っており、ゲームを進めることによってどれか一つを追い求めることになる。
エンディングはちょうど3つ用意されており、それぞれ画家が追い求めたものに対応している。
画家エンドでは画家は自画像を完成させ、「すべてはこのためだったんだ!」と歓喜に震えながら自画像を屋敷内に飾る。
恐らく画家は脳内で己の名声と地位を取り戻したのだろう、屋敷内に飾ったはずの自画像はいつのまにか豪華な美術館に飾られ、画家は偉大な画家として名を残すのだった。
(繰り返すがあくまで画家の脳内でです)
妻&子エンドは、赤子(娘)を抱く妻の絵を完成させるが、画家は「そんなことをしても何も戻らない。ようやくわかった、自分が何をすべきかが」と言い、これまで描いてきた失敗作に火をかけ、また己も炎に包まれて絶命する。
エンディング内で画家は「我が愛しの…本当にすまない…」とこれまでの己の過ちを認めている。
家族に向き合い、家族への愛情を取り戻したエンディングだと言っていいだろう。
「我が愛しの」は妻と娘に対してだと思われる。
(原文は同様に「My love…」であり具体的には書かれていない)
妻エンドはもはや説明不要のループエンド。
完成したはずの美しい妻の絵画だったが、何故か絵の中の妻が動き出してしまい、大火傷に覆われた失敗作に変わってしまう。
画家は失敗作を別室に捨てに行くが、そこにはこれまでに描いてきた失敗作の山が連なっている。
失敗作はどれも同じ顔、妻の高笑いだけが無常に響く。
妻の嘲るような笑い声を聞きながら、画家は一から絵画を描き直すために再度アトリエに向かうのだった。
画家が何故失敗したのかは不明だが、おそらく「美しい妻」を描くことだけに躍起になっていたからではないだろうか。
画家は妻の美貌だけを愛しており、妻が大火傷を負ってからは目を背けるようになってしまった。
妻はそのことを気に病んでいたし、それは彼女の自殺の原因のひとつでもあった。
画家の手紙(エピローグ)
画家は妻の自殺の後、自らの行いを悔いていたようだ。
だが、画家がいくら贖罪として妻の絵画を描いたとしても、妻の「美」だけを取り戻そうとして絵を描いたとしたのなら、根本的な解決にはならない。
妻の願いはそこにはなかった。悲劇は再び起こるだろう。
実際、美しい絵画の妻は、悲劇を再現するかのように再度焼けただれてしまった。
ゲームに出てくる会話、手紙、新聞記事は恐らく現実で起こったことだと思われるが、それ以外は画家の妄想や幻覚であると思われる。
義足であるはずの画家はゲーム内ではなんと全ステージダッシュ可能。
しかもスタミナゲージもないというプレイヤーに大変優しい親切設計。
ありがとうございます! 周回が捗ります!
…はさておき、足音は確かに義足のそれなので、主人公が画家本人であることは間違いない。
「でもあの階段は…私のこの足だと、ここに越してきたら君に寝室まで運んでもらわないとね」(ステップ2)
現実の画家は、助けがないと二階にも上ることができない。
そんな画家が全ステージダッシュ可能なのは、やはりここが妄想世界だからだと思われる。
また、ゲーム内には数々の部屋が登場し、一見するとまるで大豪邸のように思われるが、実際の屋敷の姿はプロローグや妻エンドの最後、各ステージの最終面に登場するそれでしかない。
実際の屋敷
エレベーターも長い廊下も悪夢のような怪奇現象もすべて画家の幻覚である。
それから、ゲーム内では妻の遺体のパーツを用いて絵画を描いているが、おそらくこれも画家の妄想であり、現実ではないと思われる。
これが現実ならば娘の誘拐以上のスキャンダルであり、新聞沙汰は避けられないはずだが、「狂気の画家妻の遺体で絵を描く」等の記事はゲーム内には一切出てこない。
また、妻の遺体を解体した道具がゲーム内には一切出てこないし、絵を描くごとに妻の身体を使っていたのでは、妻の身体がいくつあっても足りない。
妻の身体を解体した云々のは画家の妄想だと思われる。
ただ、妻の身体を使ったのは妄想だが、画家が妻の絵を描き続けたのは「現実」である。
「現実の屋敷」の小部屋から見えるおびただしい数の絵画がそれを物語っている。
妻に先立たれ、娘も奪われた後、画家は狂気と幻想の中で独り絵画を描き続けた。
妻エンドなら再度描き直し、画家エンドなら自己満足で終了、妻と子エンドなら改心して死亡。
いずれも憐れな結末である。
(※以上は管理人個人の考察であり、公式設定ではありません。
このページを作成するにあたり、自分でプレイするだけでなく、いくつかの攻略動画や実況プレイ動画も参考にしました)
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